2014年07月17日

CAT3116 始動不良点検

こんにちは!

大阪マリンサービスの伊藤です。

今回はエンジン始動不良点検の依頼です。しかも両舷機とも。


お客様にお伺いした症状はこちら。

エンジン型式はCAT3116

1、暖機の為、両舷エンジン始動したまま船を離れ、戻ってくると両舷機とも停止している。

2、再始動しようとしても、スターターモーターでのクランキングは出来るが始動しない。

3、エンジンルームを確認すると左舷機のみクーラントのリザーブタンク(プラスチック製)が膨れ上がっており、溢れて漏れている。エンジンオイルに異常は無い。


みなさん、エンジンが停止した原因と、再始動ができない原因は何だと思いますか?

機械式エンジンなので、最近良くある電子制御により自動停止することはありません。

ポイントは両舷ともに停止していた事と、クランキングは出来るけどエンジンがかからない点です。まぁ左舷機がオーバーヒートしたのは言わずもがな。なんとなく燃料ラインのトラブルの気がするんだけどなぁー。


はたして正解は・・・・!?


実際に私がトラブルシュートした順で見ていきましょう。

まずは左舷機の状況確認です。トラブルが深刻な状況である可能性が高く心配です。

IMGP7758.JPG

工具をかけ、人力でターニングは出来る。ターニング時の感覚だが圧縮圧力も大丈夫。

エンジンオイルも異常なし。

次はクーラント点検。キャップを開け確認すると・・やはり空っぽです。

補充すると10ℓほど入ったものの、ビルジにはそこまで漏れた痕跡はなさそう。

かといってエンジンオイルにも乳化や量が増えるなどの異常が一切無い為、取りあえず現在始動が出来ない原因を探ることにしました。


まず、イグニッションを入れるとあることに気づいた。ストップソレノイドが両舷とも反応していない。(つまり燃料カットの状態)これではいくらクランキングしてもエンジンは始動できません。どうも電気自体がソレノイドに入っていないようです。

IMGP7652.JPG

調べていくとリレーは生きているし・・・もっと大元・・・あった!ファイヤーボーイ自動消化システムの制御ユニットです。輸入艇で時々見かけるこいつは、エンジンのイグニッションのラインが結線されており、始動不良の悪さをしている可能性大。


ファイヤーボーイの消火器本体を見てみると、既に作動してしまった後のようで、消火タンクの圧力ゲージがLOWの位置に。ファイヤーボーイは消火装置の作動と同時に、エンジンのストップソレノイドを作動(エンジン停止)させる機能が備わっています。

IMGP7678.JPG

・・・だんだん原因が見えてきました。

消火システムのセンサーを短絡させると、ストップソレノイドが作動し(燃料OPENの状態)、両舷ともにエンジン始動が出来るようになりました。

つまりエンジンオーバーヒートによりエンジンルーム温度が上昇⇒作動温度である79℃に達し自動消火システムが作動⇒両舷エンジン停止&再始動不可に至ったようです。


では次にオーバーヒートの原因を探っていきます。海水フィルターに詰まりはなさそうなので、海水ポンプインペラを確認すると・・!!・・インペラの羽が一枚も無い。すべて千切れてしまったようです。しかも両舷機ともでした。

IMGP7663.JPG

この場合、単にインペラを交換するだけでは駄目で、千切れた破片を全て摘出しなければなりません。破片が詰まり海水の流れが悪くなる為ヒートの原因となる他、逆流して再度インペラに絡むとたとえ新品インペラでも容易に破損してしまうからです。

インペラが破損する原因は色々なケースがありますが、そもそもゴム製品なのであまり耐久力がありません。こまめな交換が必要なのです。今回もどうやら長らく交換していなかったようで、今回の原因は恐らくオーナー様の心に突き刺さる文言『整備不良』ということです。

そしてわずかな定期整備を怠ったがために、インペラ片摘出のための開放整備と、オーバーヒートによる2次被害の多額の修理金額が発生してしまうことになりかねないのです。


ということで始動不良原因の正解は燃料のストップソレノイドが効いていたことでしたが初めに燃料ラインと予想した私は近からず遠からずといったとこでしょうか・・。


ボートのお持ちのオーナー様、悪いことは言いません。インペラやエンジンオイルなどの定期点検項目は必ず毎年点検、若しくは交換をしてください。新艇や新品エンジンでも、もちろん同じです。ときどき進水から3年ほど経つ船なんかで見た目はまだピカピカですが、インペラカバーの取付けボルトにも綺麗なペイントがされたままだったりすると逆にひやひやします()

ミズノマリンでは『壊れる前の(定期)整備』を強く推奨しております。結果的に早くて安くてなによりも安全なのです!

なにをどこまで整備したら良いか分らないという方は、お気軽にお電話やメールにて相談ください!聞くだけはタダです()

皆様の航行の安全をお祈りしております。

潟~ズノマリン

伊藤雄紀

posted by mizunomarine_osaka at 20:54| Comment(0) | CAT 3116 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする